「Songs of the Earth」
収録曲のご紹介
オカリナの澄んだ音色を最大限に活かし、世界の童謡を奏でました・・・・・・っていうと、めちゃくちゃありそうに聞こえると思いますが、実際、どこにも存在しない唯一無二のアルバムになったと思っています。
ジャンルとしてはおそらくイージーリスニングに分類されますが、到底、真似したく無いと思われそうなイタズラが、山ほど詰め込まれてる遊び心満載の『プログレッシブイージーリスニング』アルバムです。
(文句を言いつつも(笑)涼しい顔して演奏するサポートの皆様にいつも戦慄します)
イージーリスニングファンもJAZZファンもオカリナファンも、もしかしたらプログレファンも(?)、皆それぞれが「思わず唸る」シーンが盛り込まれていると思います。タイトルに込められたテーマや様々な想いは、改めてブログで更新していきます。このように特設サイトを設けることで、「ライナーノーツに紙を使わない」ことの価値を最大限に活かしていきたいと思います。
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1. Home on The Range 峠の我が家
アレンジ:みると
オカリナ:みると
Aギター:加藤裕幸
Eギター:松原慶史
ベース:古木佳祐
パーカッション:渡辺庸介
この曲のアレンジの始まりは「電話の保留音に感動したこと」から始まりました(笑)洗練され、選び抜かれたシンプルなメロディは、音質が悪くても、電子音でも人の心を打ちます。語り継がれるべき美しきメロディを、僕なりに噛み砕き、そして「僕が演奏するならどうするか」という思いで手がけ始めました。
実はこの作品は、プログレッシブイージーリスニング企画として記念すべき一曲目の作品となります。理論的にも何もわからず、ただただ感性の赴くままに夢中で作っていたらこうなりました。刺激的だけどとても優しい世界観が完成した時の感動は今も忘れられません。
そしてその感動を胸にキラキラした顔で、初のリハーサルでサポートメンバーにアレンジを持って行った時の文句の嵐が今も忘れられません(笑)
「はじまりの曲」であり、またアレンジの性質上、一曲目にふさわしいと思い、冒頭に置いてみました。
冒頭の「峠の我が家で迎える朝」の描写は、レコーディングエンジニア佐藤健太氏の協力も得て、録音だからこその仕掛けが施されています(全て生楽器、リアルタイムで演奏しているので、いずれライブでも再現できると思います)。ヘッドホン等でお楽しみいただければ、きっと森の中で朝を迎えているような、そんな気持ちになれると思います。
2. Hänschen Klein ちょうちょ
アレンジ: みると
オカリナ:みると
ピアノ:古木佳祐
Aギター:加藤裕幸
パーカッション:渡辺庸介
20代前半の頃、作曲理論の講座における初期の課題で、『「ちょうちょ」に自分なりにコードをつける(リハモと言います)』というものがあり、自分なりにコードをつけたらこうなりました。絶賛していただくことができ、いつか発表できたらと思っていたのですが、高評価のわりに、お客様からは低評価をいただきました(笑)
ミュージシャンの「良い」とリスナーさんの「良い」に、乖離があると思い知らされ、その後はライブにおいて「ミュージシャンの自己満足に付き合わせるノルマ曲」として認定しました(笑)
正直イージーリスニングというコンセプトからは外れているのかもしれませんが収録してしまいました。
とりあえず、、、ノルマだと思ってやり過ごしてください(笑)
曲の大多数の部分はゼロからの作曲だったので、多分曲名を適当につけてメドレーですといえば、著作権が発生したのかもしれませんが(笑)地球市民が残した音楽に敬意を表したいという思い、そして僕の中でこの全編を通して一つの作品なのだという認識からあくまでもカバーアレンジとして発表いたしました。
3. Tsuki no Sabaku 月の沙漠
アレンジ: みると/矢萩暁
オカリナ:みると
ピアノ&ベース:古木佳祐
Aギター:加藤裕幸
パーカッション:渡辺庸介
世界的にもカバーされている日本の名曲「月の沙漠」を、元々、友人であり、サポートギタリストの矢萩暁氏と共に、よく8分の6のアレンジで演奏していました。
当時の暁さんのアイデアをベースにしつつ、11拍子グルーヴ基調とし、みるとテイストのコードに魔改造を施したのが本作品となります(その為、合作とさせていただいています)。哀愁漂うメロディとオカリナの音色がマッチする中で、独特のグルーヴのうねりをサポートの皆様が見事に表現してくださっています。
一説によると、適切な数え方はカブトムシ、クワガタムシ、カナブンカナブン(©松本圭使)で数えるとちょうど良いとか(笑)
どこに当てはまるか探してみてください。
個人的に好きなポイントは、途中のギターソロ(インプロビゼーション、アドリブ)と最後のたたみかけるようなパーカッションソロ!
11拍子でこんなソロとってくださる人たち、世の中にそうそういないと思います(笑)
本当にありがたい限りです。
4. Annie Laurie アニーローリー
アレンジ:みると
オカリナ:みると
Aギター:加藤裕幸
Eギター:松原慶史
ベース・ピアノ:古木佳祐
パーカッション:渡辺庸介
実際にいらしたという「アニー・ローリー」という方を歌ったスコットランド民謡です。4拍子のバラードで広く知られる曲ですが、5拍子(五連符系)でアレンジしてみました。
耳につくほどひたすら繰り返される、ドソドソドーというピアノのフレーズ(リフ、と呼びます)のセクションと、原曲のアニーロリーを、楽器構成ごと丸ごと分けて、最後に両者の楽器が合流するというアレンジにしました。
僕の作品には、プレイヤーに演奏フレーズを委ねた、ソロ(インプロビゼーション、アドリブ)のセクションが多く登場しますが、通常インプロをする際には「コード進行」が決まっていて、基本的にはそのルールに基づいてソロを取ることが一般的です。
この曲のアレンジの場合は少し変わっていて、ピアノのリフだけが固定で決まっていて、コードもフレーズも小節の始まりのタイミング(グルーヴ)も全て自由。という設定で演奏をお願いしました。
ソロ中の演奏内容は僕が指定したものではありませんが、本当に素晴らしい世界観になりました。素晴らしいアーティストの皆様に創り上げていただけて心から感謝しています。
その長いソロセクションを抜けて、ようやくオカリナが出て来た時に、この曲のメロディの美しさ、そしてオカリナの良さにハッとしてもらえたら嬉しいと思ってこんな構成にしてみました。
吹きまくるだけがオカリナの演奏ではないよと、勿体ぶってみました(笑)
5. Scarborough Fair スカボローフェア
アレンジ:みると
Aギター:加藤裕幸
ベース・ピアノ:古木佳祐
パーカッション:渡辺庸介
言わずもがな、サイモンアンドガーファンクルのカバーによって超有名曲となった「スカボローフェア」。変則的な5拍子を基本としつつも、楽曲の特徴的な箇所に変拍子を折り込んだアレンジにしてみました。
演奏側の感覚で言うとこの変拍子のキメ(リズムのキメ事)が決まった瞬間が最高に気持ちいいのです(と思っているのは僕だけの可能性もありますが(笑))。
厳かに独奏で始まり、ゆったりと独特の世界観、、から一気に駆け抜けるようなアレンジにしてみました。
共演の皆様のおかげで、本当にドラマティックな構成になったのではないかと感謝でいっぱいです。
そしてなんと言っても、ソロ(アドリブ)セクション!なんでこんなかっこいいソロが取れるのか・・・
ちなみにこの曲のピアノ弾いてる人本業ベーシストです(笑)一体どうなってるんだろう
6. Home! Sweet Home! 埴生の宿
アレンジ:みると
オカリナ:みると
Aギター:加藤裕幸
Eギター:松原慶史
ベース:古木佳祐
パーカッション:渡辺庸介
これも電話の保留音で感動コースがきっかけです(笑)プログレッシブイージーリスニングの「真骨頂」であり、最高難度!
料理で例えるなら、間違いなく最高何度の辛さ!
でも聞く分にはただただ爽やか!
と言うイタズラ心満載の作品を作って、共演メンバーから最も多くの苦情が寄せられた楽曲です(笑)
拍を数えたら絶対に演奏できない、変化し続けるグルーヴの流れを把握しておかないと演奏できないようなアレンジにしたつもりです。それを、加藤さんが本当に美しく、バッキングを取ってくれた時の感動は忘れられません。今、世界中探してもこの曲のベーシック(伴奏の主たる役割)をちゃんと弾いてくれるのは加藤さんと、圭使さん(アルバム参加してないけどツアー中に対応してくださいました感謝)しかいません。(2022年現在)
二人がいなくなったら生演奏ができなくなる曲です(笑)
そしてパーカッション、普通に聞こえるかもしれませんが、とんでもないことになってます。この曲が「自然で爽やかになるように」リズムを刻んでみてください。多分戦慄すると思います(笑)
そしてソロセクション。僕はアレンジした人間ですから、グルーヴ の流れは完全に体に入ってます。なので、それに基づいてアドリブソロを取るだけなのですが、本当にヤバイのは、当日パッと譜面見て、瞬時に対応してる松原さんのギターソロ。そして、最後の高速15拍子セクションで鮮やかに軽やかにベースで歌い上げる古木さんのソロ、どちらも人間業ではありません(笑)間違いなく「聴きどころ」だと思ってます。
7. The Water is Wide 広い河の岸辺
アレンジ:みると
オカリナ:みると
Eギター:松原慶史
ベース・ピアノ:古木佳祐
パーカッション:渡辺庸介
連続テレビ小説でも取り上げられ、一時、オカリナ業界でもみんな演奏すると言う大ヒットとなった名曲。当時流行りすぎて逆に演奏しませんでしたが、大好きな曲だったのでほとぼりが冷めてからアレンジしました(笑)
月の沙漠と同じ11拍子が基本なのですが、グルーヴ の取り方を前後逆にすることで、ゆったりと聴けるようにしてみました。
そして象徴となる「リフ」も、実はイタズラ心が満載です。どんなイタズラか、探しながら聞いてみてください^^
総合的に、あくまでも個人的にですが、とてもアレンジがうまくいったと感じています。
個人的な聴きどころは、、、冒頭のバラードから展開していくパーカッションソロ!素晴らしい世界観を表現してくださいました。ありがたいです。
そして、何と言ってもこの曲が「癒し系」としてまとまっているのは、メンバーの皆様が本当に優れているからこそなのです。普通に弾いてることが尋常じゃない(笑)
あと、最後のオカリナソロでギターと遊んだところ、個人的に超楽しかったです(僕の感想)
8. Londonderry Air (Danny Boy) ロンドンデリーの歌(ダニーボーイ)
アレンジ:松本圭使
オカリナ:みると
ピアノ:松本圭使
このアルバムで唯一、僕のアレンジではない楽曲、そして松本圭使さんに参加していただいている、いわば「ゲストトラック」的な位置づけです。
「プログレ」を謳っていながら急に毛色が変わりますが、なぜこれを入れたのか?ー深い理屈はありません。ただただ、圭使さんの奏でるこのダニーボーイアレンジ(おそらくは即興で弾いたもので譜面もないはず)が、僕にとって「世界で一番好きなダニーボーイ」だったからです。是非今製作中のアルバムにこの楽曲と共にご参加いただけないかとお願いをし、ご了承いただきました。
実はこのアルバムの「発売日まで一度も」圭使さんとお会いしておりません。これを書いてる今もまだあったことがないのです(笑)「シンクルーム」という遠隔セッションを通して圭使さんとは出会い、そして、このトラックもシンクルームで鹿児島と横浜(の隣)を繋いだ「リアルタイム遠隔セッション」でレコーディングされています(オカリナだけはその後でスタジオ環境で録りなおしました)。
なお、この一曲に参加した為に、圭使さんはライブ等で、他の参加してない鬼畜変拍子曲にも付き合わされることになりました(笑)
そこに打算があったかどうかは、僕のみぞ知ります。
9. Auld Lang Syne 蛍の光
アレンジ:みると
オカリナ:みると
Aギター:加藤裕幸
ベース・ピアノ:古木佳祐
パーカッション:渡辺庸介
日本人なら絶対聞いたことがあるこの曲ー聞いたら最後、レジに急がなければと言う気持ちに駆られるこの曲(笑)ーでも原曲は、友情を歌った素敵な歌なのです。
実はこのアルバムはこの9曲目で一度終わります(あくまで僕の中での話)。そして、その後エピローグとして「The Songs Of The Earth」が流れ始めるのです。つまり、この曲が実質のアルバムの「最後」です。
最後にこの曲を持って来た理由は、ご想像の通りです(笑)
「もう終わってしまう」と言うどことなく切ない、寂しい気持ちを、ソロ明けの、ベースとギターのトレモロのメロディのセクションに、いわゆるコッテコテの「泣き」のコード進行とともに、思いっきり込めてみました。卒業式で大合唱してるようなイメージで聞いていただければ幸いです(笑)
・・・・からの〜(古)、一気に最後まで駆け抜けて締めくくるアレンジに仕立て上げました!
サポートの皆様さらっと弾いてますが、この曲もなかなか厄介な変拍子アレンジだったはずです・・・がこのアレンジを作る頃にはみんなもう普通に変拍子に慣れてて、あっという間に形になりました(笑)
10. The Songs of the Earth
ザ・ソングス・オブ・ジ・アース~
アメージンググレース/ アリラン/ 竹田の子守歌/ 太湖船
Amazing Grace ~ Arirang ~ Takeda no Komoriuta ~ Taiho Boat
アレンジ:みると
オカリナ:みると
Aギター:加藤裕幸
ベース・ピアノ:古木佳祐
パーカッション:渡辺庸介
タイトル曲となる「The Songs of The Earth」は、みるとアレンジ作品ではアルバムのなかで唯一とも言える、「変拍子じゃない上に複雑な展開もない普通のイージーリスニング」です。
ですが、アルバム曲中で一番アレンジの「仕掛け」が施されているのはこの曲だったりします。
「ペンタトニック」という、5音の音階が使われている4カ国の曲をメドレーとして一つにまとめたカバー曲です。3番までしか無いのに、4曲のメドレーです。さらにいうとメロディは6回分です。「???」ってなりますよね。是非探してみてください。6回メロディが聴けるはずです。
音階だけでなく、伴奏まで、何もかも一緒にすることができる四曲を集めて仕掛けを施しました。
ハーモニーに対して、1、2、3番のメロディを入れ替えても音楽が成立する上に、実は四曲目が常にメロディの裏で流れ続けています。元々が「共通の音階、共通の感性」の元に生まれているメロディでなければこんなメドレーアレンジは不可能です。
「ペンタトニック」は、世界中で「自国の音階」として使われている音階です。「The Songs of The Earth」、すなわち、世界中の数々の人間の想い、歴史、生きた証が、「同じ音階」を「自身のDNAから生まれた音楽」として認識しているということについて、僕にはこれが偶然だとは到底思えません。
「好き」も「嫌い」も、細胞の奥に眠るDNAの記憶で決まることが多々あります。世界中の人が、「同じ音階を」「自分のルーツとして」好んでいる事実を踏まえると見えてくるのは、肌の色が違くても、思想や宗教が違くても、国境で隔たれ使う言語が違くても、僕たちのルーツは元々一つなんじゃないかということです。
世界はいろんな問題を抱えています。仮にそれらを感情で乗り越えられない時もあります。ただそんな時でも、僕たちの祖先である地球市民たちは、その想い、生きた証を数々のメロディという形に変え、歴史に刻み、「僕たちのルーツは共通である」ということ、「これが私のルーツなんだよ」ということを、未来を生きる僕たちに教え続けてくれているのかもしれません。
タイトル曲である「The Songs Of The Earth」は、英語圏、そして敢えて日中韓の曲の中から共通するものを探して収録しました。理由は言わずもがなです。
ーもう一つの仕掛けー
タイトル曲「The Songs of The Earth」は、ペンタトニックに加え、他にも「ソルフェジオ周波数」の528Hzと417Hzが終始流れ続ける仕掛けを施しアレンジしています(ソルフェジオ 周波数はエビデンスに基づく文献を目にしてから取り入れています)。
これもルーツと無関係ではないかもしれないなーと思いつつも、それはそれとして、睡眠導入などにも使えるような形にしてみました。
繰り返し再生などで活用していただけたらありがたいです。
オカリナ奏者みると
© Milt 2023 The Songs of the Earth